ニコニコ女子バスケ部 挫折A
※このSSは「ニコニコ女子バスケ部 初試合」の続きです。
 SSを読む時は部屋を明るくして、ゆっくり離れて読んでいってね!!!



ハーフタイムが終了。ついに第3Qが始まった。
しかし、出てきた男子部のメンバーを見て、俺達は意表を突かれた。
「あれ…?谷口は?クラッシャーは?海馬は?」
そう。先ほど試合に出ていた上記三人の姿がなかった。
その代わり、新しい選手が出てきたのだ。
「気づかないか?
 これが男子部の本当のスタメンさ。」
「な、なんだってー!?」×9(軍曹以外全員)
遊戯さんの予測していなかった言葉にさらに意表を突かれた。
つまり、女子部は最初からナメられてたってことか。
そうだ…そういうことだったんだ。
つまり俺達は所詮、奴らの手のひらで踊るピエロでしかなかったんだよ!
とまぁ、それは置いといて。男子部の本当のスタメンは、
PGがロックマン、SGが古泉一樹、Cが阿部高和さん、SFが武藤遊戯さん。
そしてPFを務める男、スパイダーマッ!ってこった。
「あれ?海馬社長はベンチなの?」
泉さんが指摘する。
それもそうだなぁ。なんか海馬さんって自分が一番じゃないと気が済まなそうだし。
そう考えながらベンチを見てみると…。
「さぁ、ここから反撃だ!分かっているな!
 男子部の意地を見せ付けてやれ!」
アンタが本当の監督かいィィィ!
じゃあ、あそこで座ってるじいさんはなんなの?
つかなんでアンタ、監督のクセにさっき試合に出てたの?
疑問が尽きない。
「分かっているな?
 負けたらこの……。」
海馬さんが取り出したるは…青く濁った謎の薬品。
俺達のベンチからあっちのベンチまでの距離はたっぷり10mはあるはずだが、
こっちまで激臭が届いている。
「ブルー・ポーションを吐くまで飲んでもらうぞ。」
「…ぶ、ブルー・ポーション…。」
「嫌だ…アレはもう嫌だ…。」
男子部の誰もがぶるぶると震え、目を見開き、歯をカタカタと鳴らしている。
この様子を見るにブルーポーションとやらはきっと、もンのスゴイ飲み物に違いない。
一体、どんな劇物…いや、劇薬だ?
「いいか、必ず逆転するぞ!」
「オウッ!」
ついには円陣を組んで自らを鼓舞する。
こりゃ確かに苦戦しそうだ…。
「私達だって、ここまで来たら負けないわよ!
 女子部ー、ファイッ!」
「おーっ!」
負けじと女子部も円陣を組む。
みんな清々しいくらい負けず嫌いだな、オイ。

風雲急を告げる第3Q。
最初に仕掛けたのは男子部だった。
パスを受けた遊戯がゴールへ一直線に走る。
「当たれっ!」
軍曹の言葉を受けて、ハルヒがディフェンスに当たる。
身長にそれほど差はない。ハルヒなら止められる!
遊戯さん、左に視線を向ける。
ハルヒ、注意を向ける。
その逆を突いて遊戯さんは右に抜けた!
「(読んでる!)」
しかし右に抜けることを読んだハルヒ、うまく遊戯さんの進路を塞いだ。
だが、遊戯さんにとってはそれすらも計算済み。
「ロックマン!」
ロックマンにパスを繋ぐ。
「はいっ!」
一気に中に切り込み、高々とジャンプ。
急速に縮むリングとボールの距離。
あれ?まさかこれは…。
「きた!ロックマンの十八番!」
「ダンクシュート!」
次の瞬間!
リングに叩きつけられるボール。
揺れるリング。きしみ音。
そして、何事もなかったように静かに着地するロックマン。
富竹さんらの言ったとおり、ホントにダンクシュートを決めてしまった。

男子部-女子部
 20  -  25

まさか、ロボットとは言え130cmそこそこの選手がダンクを決めるとは…。
俺も小学生時代頑張ったらできたのかなぁ…。
いや、つーかあれロボットじゃん。人間じゃねーじゃん。
とはいえ、ロックマンの先制ダンクはかなりの衝撃を与えた。
「すごい…。ホンモノのダンクってあんなに派手なんだ…。」
「圧倒されるわね…。」
ハルヒとアリスはやっと言葉が出てきた、と言った感じだった。
「ワハハハハ!見たか、女子部どもよ!
 電光石火のごとき速さ、鳥が飛ぶかのような華麗さと高さ、そしてゴリラのような豪快さ。
 あの派手なインサイドプレイでチームに流れをもたらす。
 自ら切り込み、活路を切り開く。それがロックマンのバスケットだ。」
「…海馬、さっきから何をぶつぶつと…?」
…ダメだ。雰囲気に飲まれたら、それこそ奴らの思うツボだ。
「(ここは流れを変えないと…。)
 ミク、パス出して。」
「はい。」
ミクさんがパスを出す。
が、遊戯さん、パスをスティール。
あっ!と思った時すでに遅し。
次の瞬間、遊戯さんのシュートが素早く打たれ、滑らかにリングを通り抜けた。

男子部-女子部
 22  -  25

「油断大敵、だな。」
遊戯さん、ミクを指差し、挑戦的な目を向ける。
「……!」
「…ほらほら、落ち着いて~。まずは、一本。」
見た目の割に意外と年長者の泉さんは何とか冷静でいるが…。
プレイでここまでゆさぶりをかけるとは、恐ろしい連中…。
「遊戯…さすがオレの認めた生涯の宿敵。
 テクニックはもちろん素早さ、視野の広さ、勝負強さ。それらはこのチームの中でもナンバーワン。
 背こそ小さい。だが、ヤツの髪型と器はどんなプレイヤーよりも大きい。
 遊戯、キサマがエースだ。」
「あの~、もしもし~?」
俺はちらっと時間を見た。見間違いがなければ、ここまで20秒くらいだ。
まさかこのまま……いや、そんな…。

そんな俺の気持ちをあざ笑うように、試合は男子部ペースで続く。
泉さんのドライブはロックマンにカットされ、ボールを拾った遊戯さんがボールを運ぶ。
ハルヒ、再び当たり、遊戯さんの動きを懸命に止める。
だが遊戯さん、無理に抜こうとせずに古泉にパスを出す。古泉は3ポイントゾーンに立っていた。
「(ま、まさか…。)」
そして古泉の3点シュート。そのまさかだった。
ボールはリングを抜け、乾いたネットの音が耳を通過していった。

男子部-女子部
 25  -  25

「よっしゃあー!」
追いついた!祝福するかのように古泉を中心にハイタッチをする男子部。
「ああ…。」
「追いつかれちゃいましたね。」
「正念場だ…。気を抜くなよ。」
そして、次は女子部の攻撃。
ロックマン、泉さんに当たる。
ディフェンスが厳しく、抜けないと判断し、ハルヒにパスを回す。
が、ハルヒもまた遊戯さんの厳しいチェックでなかなか動けない。
「…なるほどね。」
「ん?」
「動けないなら……獲りにいく!」
ハルヒ、ぽおんとシュートを放る。
「な……!」
遊戯さんの意表を突くことはできた。
が、ボールってのは気まぐれなモンで、シュートはうまく打てたものの、
リングに跳ね返りノーゴール。
そして、ゴール下での攻防が始まる。
ボールの跳ね返った方向はアリス。
「…で、でか…。」
「リバウンドを取る男…スパイダーマッ!」
スパイダーマンの後ろであたふたするアリス。
スパイダーマンの身長は180台。
対してアリスは140~50台。
もうこれは分かりやすく、完璧なミスマッチだ。
だが、アリスには武器がある!
「たっ!」
跳ぶというよりも、ロケットのようにボールに突っ込むアリスのジャンプ。
あの速さと高さがあれば、取れないボールだかタマだかなんざ…。
「ていっ!」
ない!
「取ったぁ!」
「さすがアリスさんです!」
言葉さんとなのはちゃんがえらい興奮している。
俺も興奮している。
「(…さて、誰にパスを…。)」
まず、右足から着地。1歩。
そして左。2歩。
とそこへスパイダーマン、アリスと同じ高さにまで腰を落とし、
フェイスガード(顔が触れるくらい近づくディフェンス)でプレッシャーをかける。
「きゃっ!」
思わず退いた。3歩。…あ。
「トラベリング!」
「ええ!?あ、歩いてないわよ!」
「いや、確かに3歩歩いたぞ!7行前から読めば分かる。」
メタ発言するな。
「富竹さん、一応解説してください。」
「はは…なんか便利な解説者みたいになってるね。
 トラベリングはボール持って3歩以上歩いたらダメっていうルール。
 これをやったら相手ボールから始まっちゃう。初歩だね、初歩。」
「でも、NBAは3歩以上歩いてますけど笛鳴りませんよ。」
「いや、だって…しらけちゃうから。」
事実、俺の気持ちもかなりしらけた。
せっかく取ったのになぁ。
「スパイダーマンは抜群の身体能力こそが武器。
 聞けば、奴は強化人間とのこと。それゆえ、人間離れしたプレイができる。
 例えばあのようにアリスと同じ高さまで腰を落としたとしても、普段と変わらない動きができる。
 派手な得点力はない。が、ロックマンとは違った堅実なプレイが奴にはできるんだ。」
「…だからさっきから、何をぶつぶつと…?」
そして、またしても男子部の攻撃。
泉さん、ロックマンを懸命にマークし、ボール運び以外許さない。
そこへどこからか声がかかる。
「ロック、パスだ!」
ロックマン、その声を受けて泉さんの頭上高くパスを出す。
その声の主は阿部さんだった。
阿部さん、パスを受け、着地。
だが、背後では魔理沙がしっかりとマークしている。
「おっと。ここから先は通さないぜ。」
「通さない?」
阿部さん、ゆっくりとボールをドリブルする。
「そのザルなディフェンスでか。」
次の瞬間に阿部さん、右足を一歩出す。
すると魔理沙の注意がそちらに向く。
が、阿部さんは逆の方向、左から魔理沙の横に並ぶ。
「あっ…!」
「な?」
阿部さん、そのまま魔理沙を抜き去り、シュートの態勢へ。
「させるかぁっ!」
抜かれたものの、シュート態勢に入る間に何とか回り込んだ魔理沙。
魔理沙、シュートを止めようと阿部さんに接触。
が、阿部さんは構わずシュートを打つ。
ボールはリングを跳ね返った後、ネットを通過した。
そして同時に笛。
「バスケットカウント・ワンスロー!ディフェンスファウル!」

男子部-女子部
 27  -  27

得点が入り、さらにフリースロー一本が入った。
これで魔理沙のファウルは3つ…。
「よかったのかい?そんなに焦って止めにいって。
 おれはお前のファウルを狙ってたんだぜ。」
「ぐっ…。
 (当たったのに…。)」
うまいこと言いやがるなぁ、あの兄貴。
「阿部高和の強みはあのうまさ。
 パワーも身長も並みの選手。だが、その分をテクニックの豊富さでカバーしている。
 1on1のテク、ファウルをもらいにいくテク、ボディコントロール。
 もはやそれは、男子部に欠かせないものとなった。」
「オイ、誰か病院に連れて行った方がいいんじゃないか?」
この一言をつぶやいた谷口は、ブルー・ポーションを口に突っ込まされ気絶。さすがアホ。
一方、阿部さんはフリースローをしっかり入れて、キッチリ3点プレイをものにした。

男子部-女子部
 28  -  25

だが、ここまでやられっぱなしの女子部ではない。
こっちには日本一…いや、宇宙一の負けず嫌いがいるんだ。
「…アンタ達に一言言っとくわ。」
「なんだ?」
遊戯さんとトラッシュトーキングをしている人物。
奴こそが、逆転の鍵となる人物。
「ぜ~ったい、負けないんだから!」
そう、ハルヒだ。
両手に抱えたボールを右へ左へ動かし、さらにシュートフェイクをかける。
翻弄される遊戯さん。
ハルヒ、右から切り込む。
遊戯さん、反応が遅れる。
そのままハルヒ、抜き去る。
2ポイントゾーンに入り、阿部さんが立ちふさがる。
ハルヒ、構わず突っ込み、跳ぶ。
阿部さんも跳び、シュートゾーンを塞ぎながら接触にかかる。
ハルヒ、焦らずに素早く左手にボールを持ち換え、
接触とほぼ同時にスナップを利かせてほうる。
ボールは阿部さんの手よりもさらに上を行き、リングの真ん中にぴしゃりと入る。
「バスケットカウント・ワンスロー!」

男子部-女子部
 28  -  27

「…どーよ。」
してやったり、という感じのしたり顔で遊戯を見るハルヒ。
遊戯さんも不敵に笑う。
ともあれ、ようやく待望の得点!
ベンチの俺達は思わずガッツポーズをしてしまった。
「よし!いいフックシュートだぞ、ハルヒ!」
「ふっくしゅーと?」
「あんなふうにボールを片手に乗せてそのまま放るシュートですよ。
 うまく使えれば止められにくいシュートの一つです。」
なのはちゃんの質問に答える琴姫さん。
「ハルヒの奴、いつの間にあんな技を覚えてやがったのか…。」
「つまり、涼宮さんの勝利への飽くなき執念が、今新たな必殺技を編み出した。
 ということですか?」
桂さんやめて。なんか一気に醒める。
どうしてくれんの、この不完全燃焼した気持ちは?
この中途半端に残った燃えカスみたいなこのモヤモヤは?
「恋に落ちたらそんなもんさ。」
うるせーよ!てか、あんたに恋の何が分かるんだよ!
「コントはそこまでだ。見ろ。」
いや、コントやってるつもりはないんだが。
俺が見た時にはすでに、古泉がシュートを打ったところだった。
どうやらワンスローを外したらしい。
しかもシュートの位置がえらいことになっていた。
3ポイントゾーンから大また3歩離れた所からシュートを打ったのだ。
「(あんなシュート、入らない…はず。)」
女子部の誰もがそう思っていただろう。
だが、古泉は涼しい顔をしている。
「まっがーれ↓」
やがて、ボールはリングへ吸い込まれるように飛んでいく。
綺麗な放物線を描いたボールは、迷いなくリングを通り抜けていった。

男子部-女子部
 31  - 27

こんな簡単に取り返されるなんて…しかも、さっきより点差が広がってる。
「おおっ!」
「入ったぁ!」
「古泉はハッキリ言う。シュート以外才能はない。
 どれも並みの選手くらいのスキルはあるが、他の四人とは比べるべくもない。
 が、存在感の薄さからフリーになるのは容易。そして針の穴を通すようなショット。
 奴はすでに立派な得点源となった。今でもヤツは一日300本のシュート練習を怠ったことはない。
 フッ、もっとも、オレがブルー・ポーションを使ってやらせたことだがな。」
「だ、誰かお医者様ァァァ!」
この一言をつぶやいたクラッシャーは、ブルー・ポーションを口に突っ込まされ気絶。合掌。
嵐のような男子部の攻撃でリズムを狂わされた女子部。
軍曹は第3Q残り6分でタイムアウトを取った。

「はぁ…はぁ…。」
四人の息がもう上がり始めている。
ハーフ前はまだまだ余裕が残っていたのに、ここまで疲れが見えるとは…。
男子部の強さがよく分かる。
しばらく沈黙していた軍曹、口を開く。
「…ミク、なのはと代わるぞ。しばらく体を休めろ。
 なのは、ウォーミングアップはしたな。」
「…はい。」
「はい。しました。」
油切れのためか充電切れのためか、動きがぎくしゃくし始めたミクを下げることに。
それは賛成なんだが…交代先がなのはちゃんなのが不安だ。
「そ、そんなこと言わないでくださいよ…。私も不安なんですからぁ…。」
それはすまん…。
でも、桂さんはもう少し温存しときたいとこだし、仕方ないよな。
そんな、早くも自信喪失気味ななのはちゃんにハルヒが話しかける。
「大丈夫よ、なのはちゃん。
 自分を信じて、私達を信じて。」
「ふぅ~…。」
「な~に、ちょっとの間プレイするだけさ。
 とりあえず、声かけられたらパスすりゃいいだけだぜ。」
「…アンタがそれを言うのね。」
「…どーいう意味だ。」
「そうですね…。私、やります!」
なんとかやる気になってくれたようだ。
とりあえず、俺がみんなにかけられる言葉はこれしかない。
「…がんばれ。」

試合再開。
なのはちゃんにはハルヒがヘルプに着くことで何とかカバーできている。
両者とも懸命なディフェンスで得点を許さない。
「ふぅん。なかなかしぶといヤツらだ…。
 だが、ミクを下げて高町なのはと入れ替えたのは失策だな。
 これで古泉との間にミスマッチができた。
 今はまだそれが表面化していないが…いずれ、この差が出てくるだろう。」
そして試合が動き出したのは、なのはちゃんのシュートから。
「(入れっ!)」
「させません!」
隙を見つけ、シュートを打つなのはちゃん。
が、すぐに古泉がはたき落とす。
「よぉしっ、古泉!」
「よくぞブロックした!」
古泉がはたき落としたボールを遊戯さんが取る。
「速攻!走れっ!」
「任せろッ!」
遊戯さんとスパイダーマン、走る。
何とかハルヒと泉さんが追いつき、ハルヒが遊戯さんのボールをカットしにかかる。
が、遊戯さんはゴールに向けてボールをほうりやがった。
適当すぎ。入るわけがない。
だが、それが狙いだった。
リングに跳ね返ったボールを、スパイダーマンがキャッチ。
そしてそのままリングにたたきつけた!

男子部-女子部
 33  -  27

「富竹さん、今の!」
「ああ!リョウ君の時は失敗したけど、あれこそ正真正銘のアリウープだ!
 ばっちり撮れたよ!」
「でもあれ、インターフェアですよね?
 シュートされたボールがリングの上にある時に、
 リング・ネット・バックボードに触れた場合に課せられる…。」
「でも、あれは『パスなら問題ない』からね。」
「どこでそんなの判断するのよ…。」
「まぁ、要するにアリウープはOKってことだよ。」
とにかく、これで点差は6点…。
これはまずいぞ。
「わ、私のシュートが外れたせいで…。ごめんなさいっ!」
「気にしない気にしない。
 古泉が大人げないのよ。」
「…それはすみませんね。」
そうだそうだ。大人げないぞー。
「キョン君の方こそ、文句を言うのは大人げないですよ。」
「す、すみません桂さん…。」
「古さの中にも感じられるセンスと
 泉のような穏やかさを持っていて、
 しかも、いさぎよく謝るなんて素敵じゃないですか。
 ね~、ミクさん。」
「ね~と言われましても…。」
桂さんって意外と黒いなぁ。
などと言っている間にも試合は続いた。
ハルヒと泉さんがなんとか点を入れるものの、
同じくらいに男子部も点を入れるためなかなか点差が縮まない。

男子部-女子部
 37  -  31

そして第3Q残り4分。
魔理沙、ボールを取る。
「私だって…ダンクくらい決めてやるっ!
 えぇぇぇぇいっ!」
ボールを両手に抱え、思いっきりジャンプ。
リングに叩きつけようとした…その時。
「ぐおっ!」
魔理沙に突き飛ばされ、阿部さんの身体が吹っ飛んだ。
そこへ審判の笛が鳴る。
「オフェンスファウル!赤5番!」
「アッーー!」
「フッ、そう簡単にダンクなんかさせるか。」
でも、一度くらいは決めさせてやってくれ。
しかし、これで魔理沙はファウル4つ目。
もう一度ファウルをしたら退場だが…それでも魔理沙には居てもらわないと困る。
それが軍曹の考えだろう。
「(なら、なんとか魔理沙のファウルを誘えれば、追い出せるんだが…。)」
「なんだよ、何見てんだよ。」
もう一言もしゃべらないでくれ。マリオの二の舞は嫌だ。
さらに試合が進み、またしてもなのはちゃんがボールを持った。
今度は相手ゴール近く。シュートを入れれば…。
しかし、古泉がディフェンスも頑張っており、抜くことはおろかシュートすら打たせてもらえない。
「さぁ、ここは通しませんよ。」
「(ど…どうしよどうしよどうしよどうしよどうしよどうしよどうしよどうしよどうしよ…。)」
ボールが完全に止まってしまっている。
このままだと5秒ルール(ボールを持っている人は5秒以内にボールから手を離さないといけない)で
ボールを取られてしまう。パスでもドリブルでもいいから何かしないと!
「パスだパス!出せ!」
そこへ魔理沙がパスを要求する。
いやいや、言っちゃあなんだがお前に何が出来る。
しかし、気が動転してるのかなのはちゃんは何の疑いも持たずに、
古泉の股を抜くパスを出してしまった。
「むっ…。」
「よしっ…。」
だが、この低いパスが悪かった。
「おっと!」
「あっ……!」
魔理沙が一瞬気を緩め、その隙に阿部さんが前に回り込んだ。
「ナイスパス。」
阿部さんがパスを受け取ってしまった。
「遊戯、速攻!」
「おう!儲けもんだぜ!」
阿部さん、遊戯さんにパスを出そうとボールを振りかぶる。
「させるかっ!」
阿部さんのボールをカットしようと手を出す。
「やめなさい、魔理沙!」
アリス、叫ぶ。
「阿部さんはファウルを誘ってんのよ!」
遅かった。
その頃にはすでに、阿部さんの手ごとボールをばちっとはたき落しちまった。
「ディフェンスファウル!赤5番!退場!」
ついに魔理沙に退場が命じられた。
放心する女子部達…。
いや、一番ショックなのは……
「魔理沙…。」
うつむき、棒立ちする魔理沙。
「わたしの…わたしのせいで…。」
魔理沙、なのはちゃんの頭にぽんと手を置く。
「泣いちゃダメだぜ。手ぇ出しちゃったこっちの方が悪いんだからさ。」
魔理沙の身体が縮んでいく。
それはまるで、役目を終えたかのように…。
「…がんばれ。」
魔理沙の顔は髪に隠れていて見えない。
だが、汗がいつもよりも滴り落ちていた。

魔理沙「ぐすん。」
阿部「アバヨ。」
キョン「ぐすん。」
阿部「おっと、大丈夫かい?」
キョン「好き嫌いハッキリしてるな。」


CM
サラリーマン、満員電車から出てくる。
テロ「身体、疲れてませんか?」
サラリーマン、頭を抱えながら歩いてくる。
テロ「心、疲れてませんか?」
日の光が差し、サラリーマンを包む。
テロ「それでもまだ、頑張りますか?」

サラリーマン、ドリンク剤を一気飲み。
ナレ「87種類の有効成分が、
 戦うあなたを応援する栄養ドリンク剤、ブルー・ポーション。」
リーマン「(いきいきと)ぷはぁっ…!」

サラリーマン、肩を回し、首をひねりながら、駅の階段を下る。
テロ&ナレ「今日も元気で
 いってらっしゃい。」
ナレ「KCマークの海馬コーポレーションから。」



続く


NK
http://nannkotsu.blog56.fc2.com/
2008年10月20日(月) 23時38分54秒 公開
■この作品の著作権はNKさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
海馬がテニプリのアレっぽいのは、中の人つながりです。
この人、元々解説役に向いてるしね。
なのはがブザマな姿を晒しまくってますが、他人事に思えないです。
ちなみにブルー・ポーションは自分のライフポイントを400ポイント回復する薬品です。
ハイポーションとは違うのだよ、ハイポーションとは!

この作品の感想をお寄せください。
縦読みww
海馬の解説はキャラを立たせ、かつ立ち位置を明確にしてくれるので助かります
谷口、KBC、お前らが飲まされたのも必然と言うものだw

やっぱりキョンがどこか銀さん風味
50 暮雨 ■2008-10-28 22:10:46 119.30.214.133
KCはどの方面へ進む気なのか?~最終鬼畜社長K.瀬人~ww
いったい社長は幾つの子会社を持っているんだ。
しかも選手達への理解能力が半端じゃない(弱冠大袈裟ではあるが)ww
さてさて、Bを読まねば!
50 遊星γ ■2008-10-22 19:26:50 121.110.65.13
合計 100
過去の作品なので感想を投稿することはできません。 <<戻る